Trailer
Introduction
映画作りに情熱を燃やす
若者たちを描く
70年代青春グラフィティ
1978年夏、高校生の広志は日本で公開されたばかりの『スター・ウォーズ』を観て大興奮‼自分も巨大な宇宙船を撮りたいと8ミリカメラを手にする。映画作りへの熱い想いはいつしかクラスメイトたちを巻込み、文化祭の出し物で監督作品が上映されることに。こうして忘れられない夏休みの撮影が始まった――。
監督は、映画『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』(99)、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』(06)など不動の人気を誇る平成ウルトラマンシリーズを手掛けてきた映画監督、小中和哉。「原点でもある8ミリ映画作りに熱中した青春時代を映画にしたい!」と抱き続けていた念願の企画を実現。監督の分身でもある主人公の広志には、主演映画『許された子どもたち』(20)で第 75 回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を受賞した注目の新鋭、上村侑。広志をサポートし共に奔走する友人の喜男と佐々木に、ホリプロ初の男性ダンス&ボーカルグループ WATWING(ワトウィン)で活躍する福澤希空と桑山隆太。広志が密かに思いを寄せ、映画のヒロインを申し出るクラスのマドンナ夏美に、『ベイビーわるきゅーれ』(21)で話題をさらった髙石あかりとフレッシュな若手俳優たちが集結‼ほか川久保拓司、北岡龍貴、佐藤友祐(lol-エルオーエル-)、有森也実と小中組と縁のある個性的な面々が名を連ねる。
仲間と一緒に情熱を傾け、一からモノづくりをすることの尊さに胸が熱くなる極上の青春映画が誕生した!
Story
「本番、よーい、ハイ!」
「カット‼」
ぼくたちの忘れられない
夏休みが始まった。
世界中を熱狂の渦に巻き込んだ『スター・ウォーズ』が日本で公開され、SF映画に感銘を受けた高校生の広志(上村侑)は自分も巨大な宇宙船を撮りたいと友人の喜男(福澤希空)と共に宇宙船のミニチュアを作り、8ミリカメラで撮影し始める。当初、宇宙船を撮ることしか考えていなかった広志だったが、「ちゃんと一本の映画にしろよ」とカメラ屋の店員・寺尾(佐藤友祐)にアドバイスされ、以前から好きだった同じクラスの夏美(髙石あかり)をヒロインにしたいという思いもあり、ホームルームでクラスの文化祭企画が議論されている時に勢いで、8ミリ映画作りを提案。しかしオバケ屋敷を主張するクラスメイトから「どんなストーリーなんだ?」と問い詰められてしまう。担任教師・丸山(川久保拓司)は広志に次回のホームルームでストーリーを発表するように命じ、それを聞いてから決を採ることに。意外な展開に勢い付いた広志はホームルームが終わった直後、夏美に「ヒロインお願いします!」と申し込むが、「そんなヒマない」とあっさり断られてしまう。それでも広志は夏美を説得するためには脚本が必要と、喜男そして映画マニアの佐々木(桑山隆太)にも加わってもらい物語を作り始める。フィルムを逆に回すリバーズ撮影機能を知ったことで、宇宙人が地球の時間を逆転し人類の進化をやり直させようとする「タイム・リバース」という物語が生まれる。出来上がった脚本を夏美に渡し、ホームルームが始まる。広志は「タイム・リバーズ」のストーリーをクラスメイトの前で熱弁、皆が面白がる中、「ヒロインは誰がやるんだよ?誰かさんに頼んでいるみたいだけど」との声があがる。広志に緊張が走るが、夏美の答えは「私、やるから」だった。広志、喜男、佐々木、夏美、4人の映画作りがスタートする――。
Motion Gallery Collector
映画『Single8』のMOTION GALLERYコレクターとして、ご協力を頂き誠にありがとうございます。
公式サイトへのお名前掲載を選ばれた方々をここに掲載させて頂きます。
- えみり
- 服部 弘之
- まつなが よしたか
- Shin
- Route193
- 藤原 カクセイ
- 藤野利之
- 虫明 千尋
- 経堂まことや
- 井上 淳一
- 大原 幸蔵
- 樋口 明雄
- 山口 博樹
- 矢萩 久登
- 櫻井 彰
- yukko☆
- Windy Kumiko☆彡.。
- Windy
- よしおかけんじ
- まみ☆
- 槙 俊和
- 清琴
- 於勢博之
- 内藤見幸
- 岸野雄一
- 安田允彦
- 鈴木徹
- 杢之助
- 田中祐樹
- 永野のりこ
- 松下武
- 松山 仁
- 猪爪慎一
- りりちゃん
- ゆり
- 螢
- 金成大輔
- はるか
- 岡安誠史
- すー
- 香川紀昭
- こんどー
- すずか
- 敷島怜
- 山内孝志
- 本広克行
- 安藤礼二
- TOMOKI SANO
- 法貴政信
- 前川家
- 田邊 忠
- あすちゃん
- オムニディジコム株式会社
- 清井俊亜
- 岡 信介
- とこ。
- 滝田 孝
- 大石達亮
- 藤原佐年
- Oimai
- 山本和宏
- 大竹俊也
- ys
- 伊丹ローズ
- 岡田斗司夫
- 堀凌大
- 伊藤さん
- Oo TheongSiang
- 大久保孝一
- 王 小天
Cast
UEMURA YU
上村侑
as 広志
2002年11月2日生まれ、鹿児島県出身。映画『許された子どもたち』(20/内藤瑛亮監督)で第75回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。主な出演作品に、『さよなら、バンドアパート』(22/宮野ケイジ監督)、『空のない世界から』(22/小澤和義監督)、『ワタシの中の彼女』(22/中村真夕監督)、映画『近江商人、走る!』(22/三野龍一監督)、テレビドラマ「ファーストペンギン!」(日本テレビ)などがある。
TAKAISHI AKARI
髙石あかり
as 夏美
2002年12月19日生まれ、宮崎県出身。2021年の映画初主演作『ベイビーわるきゅーれ』(阪元裕吾監督)が大ヒットし話題に。主な映画出演作に『ある用務員』(21/阪元裕吾監督)、『さよなら、バンドアパート』(21/宮野ケイジ監督)、『とおいらいめい』(22/大橋隆行監督)、『ハッピーエンディングス』(22/井上康平監督・大崎章監督)、『追想ジャーニー』(22/谷健二監督)、『終末の探偵』(22/井川広太郎監督)など。公開待機作品に2023年3月17日公開『わたしの幸せな結婚』(塚原あゆ子監督)、3月24日公開『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』(阪元裕吾監督)がある。
FUKUZAWA NOA
福澤希空
as 喜男
2004年2月22日生まれ、愛知県出身。ホリプロ初の男性ダンス&ボーカルグループ「WATWING(ワトウィン)」メンバー。グループ活動に平行して、ミュージカル「17Again」(21/幸光順平演出)、一大ブームを起こした「呪術廻戦」(22/小林顕作演出)の舞台に吉野順平役で出演するなど、舞台上で独特の異彩を放つ。
KUWAYAMA RYUTA
桑山隆太
as 佐々木
2004年1月27日生まれ。東京都出身。ホリプロ初の男性ダンス&ボーカルグループ「WATWING(ワトウィン)」メンバー。AbemaTV「今日、好きになりました。〜青い春編〜」、10月期日本テレビ「ZIP!朝ドラマ」『クレッシェンドで進め』の主要キャスト柳田役に出演するなど俳優としても活躍の幅を広げる。
KAWAKUBO TAKUJI
川久保拓司
as 丸山先生
1981年12月17日生まれ、東京都出身。 「ウルトラマンネクサス」(04)で主人公、孤門 一輝を演じる。主な出演作品に、テレビドラマ「勇者ヨシヒコシリーズ」(テレビ東京)第1作「勇者ヨシヒコと魔王の城」(11)、第3作「勇者ヨシヒコと導かれし七人」(16)、舞台「ピアフ」(18/栗山民也演出)、「ボーイズ・イン・ザ・バンド ~真夜中のパーティー~」(20/白井晃演出)など多数。
KITAOKA RYUKI
北岡龍貴
as カレー屋のおやじ
1971年10月5日生まれ、栃木県出身。小中和哉監督作品には、テレビドラマ「ウルトラマンネクサス」(04)、映画『七瀬ふたたび』(10)、『VAMP』(19)など多数出演。ほか主な作品に『キングダム』(19/佐藤信介監督)、『信虎』(21/金子修介監督・宮下玄覇監督)など。アメリカ映画、香港映画、中国映画、フィリピン映画、台湾映画、スペイン映画と海外作品での活動も多い。
SATO YUSUKE
佐藤友祐
as カメラ屋店員・寺尾
1996年6月11日生まれ、北海道出身。男女混成ダンス&ヴォーカルグループ・lol(エルオーエル)のメンバー。小中監督作品では、前作『星空のむこうの国』(21)に続いての出演。ほか主演ドラマ「不幸くんはキスするしかない!」(MBS)など。アーティスト活動だけでなく、俳優やモデルとしてもマルチに活躍中。
ARIMORI NARIMI
有森也実
as 広志の母
1967年12月10日生まれ、神奈川県出身。1986年に小中和哉監督の商業映画デビュー作『星空のむこうの国』で映画初主演。同年に映画『キネマの天地』(山田洋次監督)のヒロイン役で、第29回ブルーリボン賞新人賞、第10回 日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後も「東京ラブストーリ」(CX)、舞台「放浪記」などドラマ、舞台、映画などに多数出演。近作に舞台「化粧二題」(19・21/鵜山仁演出)、「フラガール-dance for smile-」(河毛俊作総合演出・岡村俊一構成演出)、映画『いぬむこいり』(19/片嶋一貴監督)、『星空のむこうの国 』(21/小中和哉監督)、『天上の花』(22/片嶋一貴監督)など。今後は、舞台「ある八重子物語」1〜4月 、11〜12月公演、6月には二人芝居 舞台「ハナシの話」が控える。
Director’s
Note
自分の原点を振り返る映画『Single8』
8ミリ映画作りに夢中になっていたあの頃のことを映画にしたいとずっと前から考えていた。映画を観るのは面白いけれど、作ることの方がもっと面白い。その感覚を観客にも共感してもらえる映画を作りたいと。
スピルバーグ製作の『SUPER8』を観て、胸にしまい込んでいたその企画のことを思い出した。8ミリでゾンビ映画を作る主人公たちに昔の自分の姿が重なり、あの部分だけの映画を見たいと思った。ならば自分で作ろう。僕の場合、シングル8だ。そういう思いでタイトルを付けた。
コダック社の8ミリフィルムであるスーパー8と富士フィルムのシングル8の違いは、赤系のスーパー、緑系のシングルという色合いの差もあるが、撮影機能の違いがある。シングルはフィルムを巻き戻して再撮影することができたので、多重露出による合成が可能。特撮をやりたかった僕はシングル派だった。
『Single8』に登場する8ミリ映画は実際に僕が当時撮った8ミリ映画を再現したもの。主人公が中学の時に撮った最初の8ミリ映画『CLAWS』は僕が中学2年で『JAWS』に影響されて撮った初監督作品を再現した。スピルバーグの『JAWS』に触発されて映画を撮り始めた僕が、『SUPER8』に発奮して『Single8』を撮り、その公開がスピルバーグの自主映画時代を描いた『フェイブルマンズ』と同時期になるとは、不思議な巡り合わせを勝手に感じている。
主人公たちが作る映画『タイム・リバース』は僕が高校1年の時に映画研究部で作った『TURN POINT 10:40』を再現したもの。その年に公開された『スター・ウォーズ』の宇宙船の巨大さに打ちのめされた僕は、自分でも巨大な宇宙船を撮ってみたいという一心で作り始めた映画だ。試行錯誤の末にそのカットを撮ることはできたのだが、映画を作っていく中で、映画にとって大切なのは特撮だけではなく、ストーリーやカメラワークやカット割りや演技など、他にも多くの大切なことがあると気づき、《映画ごっこ》から脱皮して《映画》を作らないといけないと思い至った。
8ミリ映画時代の自分と仲間たちを若い俳優たちに演じてもらうのは、照れ臭くもワクワクする体験だった。上村侑くん、髙石あかりさんは経験もあるので俳優としてこの世界観に自然に入ってきてくれた。福澤希空くん、桑山隆太くんも自分の個性を生かして役に命を吹き込んでくれた。『星空のむこうの国』のヒロイン有森也実さんに『星空』と同じ撮影場所である僕の実家に来てもらい、主人公の母親役を演じてもらった時は、時空を越える不思議な気持ちだった。この映画はドキュメンタリーのように撮りたいと考え、俳優たちには、台詞も変えていいし自由に動いてほしいと注文し、それを複数のカメラで追いかけた。『赤々煉恋』でも組んだ藍河兼一さんが撮影監督、8ミリ時代から手持ちカメラに定評がある今関あきよしさんがBカメで支えてもらった現場だった。
一方、劇中で撮られる8ミリ映画の部分は、本当に8ミリフィルムで撮影し、フィルムを切って編集し、それをデジタル化して本編に組み込んでいる。その意味で今回は久々にフィルムを回して撮った映画となった。デジタル化で映像は身近で便利なものになったけれど、フィルムの持つぬくもり、フィルムならではの映画作りの過程は特別なもの。劇中でも描いたので、それを体感してもらえる映画になったと自負している。
僕が8ミリ映画を撮っていた時代では、自主映画と商業映画は全く違う世界だった。8ミリ作品で評価されたとしても8ミリは劇場では上映できないし、商業映画を撮るにはプロのスタッフと機材を用意しないといけないので、莫大な費用が必要だった。けれど今は機材が進化して、技術的・機材的には自主映画と商業映画の差は無くなってきている。この作品は少数精鋭の自主映画体制で自主映画の話を撮った。
この映画を作ってみて、自分の原点に立ち返ることができたので、ここからが新しい始まりだと感じている。この映画のラストで主人公が言う台詞は、今の僕の気持ちでもある。 「次回作はもっと傑作にするから」
KONAKA KAZUYA
小中和哉
監督・脚本
1963年生まれ。兄・小中千昭(現脚本家)と共に小学生のころから8ミリ映画を作り初め、中学2年『CLAWS』(76)で初監督。成蹊高校映画研究部、立教大学SPPで自主映画を撮り続け、1986年に池袋の名画座・文芸坐が出資した『星空のむこうの国』で商業映画デビュー。1992年、兄・千昭と妻・明子と有限会社こぐま兄弟舎(現・株式会社Bear Brothers)を設立。1993年にポニーキャニオン、タカラと共同で映画『くまちゃん』を製作。1997年公開『ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』でウルトラマンシリーズ初監督。以降、監督・特技監督として映画・テレビシリーズ両方でウルトラマンシリーズに深く関わる。代表作:映画『四月怪談』(88)、『ウルトラマンティガ・ダイナ&ガイア』(99)、『ULTRAMAN』(04)、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』(06)、『七瀬ふたたび』(10)、『赤々煉恋』(13)、『VAMP』(14)、TVシリーズ「ウルトラマンダイナ」(98)、「ASTRO BOY 鉄腕アトム」(03)、「ウルトラマンネクサス」(05)、「南くんの恋人」(15)、「いいね!光源氏くん」(21)など。
Comment
熱いコメントが続々と到着!
(敬称略・順不同)
黒沢清(映画監督)
『岸辺の旅』『スパイの妻』
ああ、懐かしい。撮ってるときは何が写っているのかさっぱりわからないのが8㎜自主映画だった。だから、出来上がった作品はいつも予想もしないものになる。あれがスタートだった。
犬童一心(映画監督)
『ジョゼと虎と魚たち』『ハウ』
私も、78年の夏、初めての映画を作っていました。8ミリカメラを握りしめたときの熱い気持ち暑い夏を思い出し、もうどうして良いやら胸が張り裂けそうです。 10代の終わり、二度と戻れない夏をフィルムに閉じ込めることができた幸福な野郎どもに心から拍手。8ミリカメラは強く握りしめることができたから祈りを込めて作れたんだな。
手塚眞(ヴィジュアリスト/映画監督)
『白痴』『星くず兄弟の伝説』
シングル8は魔法のランプだった。それに触ればなんでもできると思っていた高校時代。学校は文字通り、映画作りの宇宙だった。
映画研究部のあの狭く汚い部室で、後輩だった小中監督やヒロインたちと過ごしたあの日々。等身大の8ミリ少年たちの青春群像は、甘く酸っぱく、ちょっと照れ臭く、しかし現代の映画少年たちも同じような夢を持ってくれればいいと、この優しい映画が未来を繋いでくれることを期待します。
河崎実(映画監督)
『いかレスラー』『日本以外全部沈没』
学生時代8ミリ映画を同時期に作っていた同志である小中監督は、わたし同様40年以上同じことをやり続けている。
お互いプロになって映画の規模は大きくなっても、この初期衝動の熱さはなにも変わらないのだ。
改めてフィルムっていい、青春ていい。
わたしも自伝的映画作りたくなったよ。だってフィルムがたくさんあるんだもん。
樋口真嗣(映画監督)
『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』
忘れていた匂い。
現像したフィルムの入った紙箱を開ける瞬間に溢れ出る——
中で緩まないようにリールに詰め込まれたウレタンのブロック——
電源を入れると沸き上がる、コンデンサに負荷がかかり材質が気化して、ハロゲン球に積もった埃の焦げるような——。
波のようにどんどん押し寄せてくる匂いたちよ。
あの日々を生きていた何者でもなかった自分たち。
そんなもの作ったところで何か変わるなんて保証もなく、
それでも説明出来ない何かに突き動かされていたあの日々。
そいつは甘いけれど、とても苦い。
ちくしょう。還暦前なのに。
あの日々の思い出に浸れる甘美な幸せなんかまだ知りたくなかったのに。
ノーマン・イングランド(映画ライター/字幕翻訳家)
1970年代、あの頃続々と現れた “新しい映画” たちは、映画というものが果たし得る芸術的可能性を急速に拡大させた。最も衝撃を与えた映画のひとつに『スター・ウォーズ』がある。アメリカ初公開時、ぼくは18歳。ルーカスと彼のスタッフたちが創りだす映像は観客の度肝を抜くだけでなく、強く心を揺さぶるものだった。1977年の夏(日本公開の1年前)、ぼくは友人たちと何度も『スター・ウォーズ』を観るために劇場へ脚を運んだ。
それから45年後のいま、やってきたのが『Single8』だ。『スター・ウォーズ』に創作意欲をかきたてられた高校生たちが、SF映画の製作に挑戦するこの物語は、ぼくの心の奥底に眠る記憶を呼び覚ました。あの時代、ぼくもスーパー8でお粗末なフィルム映画を撮っていたのだ。(日本のフィルム市場ではシングル8が主流だったが、アメリカではそれよりフレームサイズが少し大きいスーパー8を使用していた)コンピューターの助けもない時代、情熱のみに突き動かされ、映画館での記憶を頼りに必死で再現の道を模索した、あの素晴らしい時間。本作『Single8』は、あの頃の情熱を見事に捉えていて、胸が熱くなった。
日本とアメリカの生活文化はともすると銀河系レベルの隔たりを生むこともある、しかし映画という文化は万国共通のものなのだ。そのことを『Single8』は強く感じさせてくれる。宇宙船の合成ショットの撮影に苦心惨憺する、十代の登場人物たち。燃えさかる情熱に国籍は関係なく、映画とは国境のない文化なのだ。
当時を知るひとにはあの頃の幸せな記憶を、知らない人にはフィルムが手に取れる「モノ」であった頃の生々しい喜びを『Single8』で味わってほしい。
是枝裕和(映画監督)
『万引き家族』『ベイビー・ブローカー』
なんだかとても幸せな気持ちになりました。
僕のように8ミリにはあまり触れてこなかった人間にとっても記憶の中にあるはずのない映画作りを追体験していくような、不思議なワクワク感に満ちていました。そこに感じたのが単純なノスタルジーではなかったのは、小中さんの中に自らの原点をもう一度確かめたいという強い前向きな動機があったからではないかと勝手に想像して嬉しくなりました。
桜井浩子(女優/コーディネーター)
初代ウルトラマン/フジアキコ隊員
成る程!小中さんのルーツが分かりました。
つまり映画創りに魅せられて現在に至っているって事ですネ!
その初めの一歩の息吹を感じさせてくれる貴重な作品でした。
穏やかな作風の中に迸る熱情、気を衒わずに淡々と進んでゆくストーリー、良かったです♪
ん?コレって何処かで感じた様な、、、ワッ!飯島敏宏監督のテイストだ!
蜂須賀健太郎(映画監督)
『あの庭の扉をあけたとき』
『Single8』、素敵な青春映画でした。
僕も8ミリ映画出身だから、とても共感するところがありました。
高校生の熱き自主映画作りを描いたこの作品は、時代を超える普遍性も持っているのだと思います。70年代のノスタルジーはもちろん、モノ作りを通した仲間たちとの成長を軸にしたことで、現代の青春映画としても、楽しむことができるような気がしました。特に出演している若い俳優さんたちが魅力的、ナチュラルな演技で、テンポよく、最後まで「小中ワールド」にどんどんと引き込まれてしまいました。
世代を超えて、多くのみなさまに観ていただきたい映画です。
本広克行(演出/映画監督)
『踊る大捜査線』シリーズ、『幕が上がる』
僕が映画学校で学んでいた頃に『星空のむこうの国』(1985)を観た。
当時は同世代で自主映画を作る人間として作品の完成度にとても感動し落ち込んだ。どうやったらこんな作品が作れるのかを知りたかった。
そして、2023年、映画『Single8』で当時のネタを明かしてくれた。
しかもストーリーには、僕が一番好きな80年代青春映画のテイストが入っていて、鑑賞後には感動して、また落ち込んだ。
ラストシーンの考察などいろいろ知りたくてすぐに、クラウドファンドに入って監督のカット割台本を入手して分析していたら、なんとエンドロールに自分の名前を入れてもらえるとは、スクリーンで観に行きたい!
いくつになっても映画ファンになれる作品です。
上田慎一郎(映画監督)
『カメラを止めるな!』
映画好き男子高校生が文化祭のクラス展で映画を作る!と言い出し想い寄せる女子にヒロインを頼み…って俺の話やん!って刺さりまくってたら監督のほぼ実話との事。
世代を超えた共通体験に感慨。
映画作りの醍醐味が詰まってた。
映画づくり映画の新たなマスターピース。
金田龍(映画監督)
『満月のくちづけ』、「牙狼〈GARO〉」シリーズ
8ミリ映画はかつて「小型映画」と呼ばれていた。
この映画は無限の宇宙空間に小型宇宙船で挑む少年たちの物語りだ。
小中さんと同世代の自分も8ミリに出会った頃の初恋のような切なさに動かされました。
70年代の回想録ではなく、今を生きる少年少女たちにこそ観てほしい映画です。
8ミリフィルムの優しい手触りに小中さんの宇宙が詰まっていました。
坂手洋二(劇作家/演出家)
1978年夏、私も初めて8ミリ映画を作った。野球部との活動費の百対一くらいの格差を生徒会に訴え、掛け合って、年間予算を十倍にしてもらった。録音できないSingle8のカメラ。画面の中では登場人物全員が、ひたすら走り続けた。そうそう、現像が上がってきて、フィルムに「写っていること」じたいに感動した。洗濯ばさみにフィルムの断片たちをぶら下げ、編集した。懐かしい。翌年作った映画は殺人シーンがあるため職員会議で学園祭での上映中止を宣告され、代わりに翌週土曜日放課後の視聴覚教室での上映会を認めさせ、結果として超満員の上映会となった。
あの懐かしい日々は、多くの同世代の映画に向かった高校生たちと、共有されたものだったのだ。しかし私は小中監督のような技術への関心が強くはなかったので、本作『Single8』を観て、「8ミリ映画でもこんなことができるんだ」の連打に、唸ることしきり。やはりこういう人が映画監督になるのですね。必然として。……そして、友だちの存在。理屈や利害と関係なく、ただ一緒にいることから始まる、そして実はちゃんと相手のことを考えてくれている、得がたい友だち。この映画を観てタイムスリップした気分になれるのは、あの時期だからこその、仲間たちとのふれあいの、その温度が、揺らぎが、しっかりと描かれているからだ。大切なことを思い出させてくれて、ありがとう。
Theater
「前売り鑑賞券」発売中
「劇中で使用された8mmフィルム+
オリジナルポストカード」セット付き前売券
彼らが撮った“あのシーン”があなたの手に…
どうぞお楽しみに!
※上映時間および詳細は、各劇場へお問い合わせください。 ※前売券は劇場でお求めいただけます。
※劇場情報は随時更新いたします。
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